メンター通信 第79号
発行日2010.8
決算書を見てとれだけ投資してもよいか解りますか
私が決算書に興味を持ち出したのは、以前ソフトウェア開発会社に勤めていたときのことです。
当時のソフトウェア開発の仕事は、1ヶ月いくらで作業をするのか。または1時間いくらで仕事をするのか。などの契約が主でした。
仮にこのソフトウェアの開発全体でいくらになるのかを決めるときでも、結局何人で作業をして、何ヶ月掛かるかによって金額が決まるというものでした。
この基本となるものを人(にん)月(げつ)単価なんて言います。
2人で3ヶ月の作業だとしますと、6人(にん)月(げつ)といいます。
この仕事が仮に、人月単価80万円だとしますと、480万円のソフト開発費になります。
私は、この人月単価が、いくらが妥当なのかが解りませんでした。と言いますのは、当時下請けをしていた関係で、景気が悪くなるとこの単価を下げる要求があるのです。
そこでやるのが人件費との比較になります。人件費に必要利益を乗せて金額を考えるのですが、その必要利益が解りません。
そこで名古屋の大手経営コンサルタント会社に勉強しに行くことにしました。
そんなことが始まりで、決算書の分析に興味を持つようになりました。その勉強会で、キャッシュフロー経営とか、計数管理とかを勉強しにいきました。勉強会に参加するたびに講師に
「ソフトウェア業というのは、一体いくらの粗利益があればいいんでしょうか?」
と質問をしたのですが、答えは返ってきませんでした。
決算書を分析しても、いくら儲けたらよいのかが解らない。
逆に考えるとどれだけ利益を上げなければならないかが解らないというのは、おかしいとは思いませんか。
経営をしていく上で、問題があるんではないでしょうか。
そんな疑問を持ち続けていましたが、ランチェスター経営の竹田先生との出会いですっきりしました。
(「戦略社長」の教材はこちら)
こんな形で決算書の分析に興味を持ち出したのですが、今年の初めから行っているランチェスターフルマラソンで、改めて財務戦略の勉強をすることになりました。
皆さんは次の大手スーパーの貸借対照表をみて、どの点を改善しなければならないかが解りますか?
自己19%というのは、自己資本比率で小売業の平均は33.4%ですので、19%では「やや苦戦」というレベルです。1桁になった時が危険値です。勿論業種によってこの値は違います。この会社が今後借り入れをするならば、総資産の10%が限度と言うことになります。ですので決算書を見れば総資産額が解りますので、いくらまでなら借り入れが出来るかが解るわけです。
これは銀行さんが貸してくれるかどうかとは別の話です。
安全に会社を運営するときの値です。
次に、この会社の問題点は、固定資産の多さです。
決算書はその経営者の性格を表すと言いますが、この経営者はどうやら拡大欲が特別に強く、無理な投資をしているようです。これが原因で資金繰りが厳しいようです。
固定資産の限度枠を考えるには、固定比率というものを使います。固定比率は自己資本(自分のお金)の何倍お金が固定化しているかという比率です。
お金が固定化つまり直ぐに現金化できないと経営上は不利に働きます。
この会社は4倍強です。小売業ですと3倍が限度です。
3倍になると資金繰りで忙しくなってきます。
この2つの値からいくらまで借り入れをし、どの程度なら投資してもよいかという安全値がわかります。
経営者は物事を前向きに考えなければなりませんが、反面最悪の場合も考えなければなりません。
こんなときに決算書の分析を理解しておくと、強力な武器になります。
それでは、私が最初に疑問に思ったいくら利益を上げればいいのかという点ですが、会社の状況によって違いはありますが、業界平均の一人当たりの粗利益額を基準にするのが一番よいと思います。
ソフトウェア業の場合、黒字の平均が800万円ですので、1ヶ月67万円です。競争相手がこの金額ですので、自社の主力のメンバーがこの金額以下で仕事をしていてはいつまでたっても追いつける理由(わけ)がありません。つまり状況は変わらないということですね。当時はこんなことすらわかっていませんでした。
もう一つ利益についての考え方があります。それは何年掛けて自己資本額をいくらまで高めるかということです。
一年間会社を健全に運営しますと経常利益が生まれます。毎年の経常利益から税金を引かれて、そのお金が資本金に繰り越し利益という形で自己資本額に加えられます。
つまり自己資本額と言うのは、いままで会社が運営されてきた利益の蓄積度合いです。
社長の能力が高いかどうかを客観的に見る唯一の方法が、この自己資本額です。経営は長く続いていきます。何十年も経営して累積赤字があるということは、社長の実力がないという物的証拠になります。
この自己資本額も業界平均と比較して目標を決めます。
経営コンサルタント業の場合、一人当たり自己資本額は約400万円です。競争相手に勝つには、バーナードコープマンの必勝の数値を利用しますと2.83倍必要になります。
すると一人当たり自己資本額は1132万円です。私の会社は1.5人でやっておりますので、1698万円利益が蓄積できれば、りっぱな社長の仲間入りができた訳です。
これを何年で達成するかを決めて、毎年どれだけ利益を蓄積するかを決めれば適正な利益目標を算出したことになります。
会社を始めて、ただ儲けるために会社をしてきたが、そのうち食ってくために仕事をするようになる。遂に金利を払うために仕事をしなければならなくなる。こうならないためにしっかりと利益を蓄積していきたいものです。
一人当たり1000万円の自己資本額があれば、景気の波があっても、時代が変わっても次の時代の準備ができると思います。
決算書を見るには、楽しいものではありませんが一度決算書と向きあってみては如何でしょうか。
自分の仕事を探求していますか
営業という仕事を体験するまでは、私は営業職が嫌いだとは思いませんでしたが自分で勤まるとは思っていませんでした。
流暢に話しができる訳でもなく、かといってそんなに野心を持っている訳でもなく、周りもそんな私を見ていて営業職を希望したときには、社内から大反対でした。
上司が代わる代わる説得に来るわけです。今にして思えば、よくもこの説得を退けて、先の見えない営業の世界に飛び込んだものだと、しばらくして後悔したものです。
実際にやってみて、結果を出すということが本当に難しいことを思い知らされました。
ところがどういう訳か、それなりに実績を残せることができました。でもこの経験を何とか伝えたいと思っています。
なぜかと言いますと、営業は学ぶ機会があまりにも少ないのです。私の場合は、運があったのだと思います。
そこで最近改めて『私はどうして販売外交に成功したか』Fベトガーを読み返しています。
今回は、繰り返し勉強するために朗読して録音しています。
私は滑舌が悪いので一石二鳥です。
その中でも「質問の効果」という章は大切だと感じています。
この本はベトガーの体験談を通じて営業の技術を伝えていくという具合ですが、この章ではベトガーが紹介によりある社長に面会する場面が描かれています。
ところがその社長は、保険に入ったばかりで商談にはなりません。
普通の営業なら、ここで引き下がってくるところですが、ベトガーは、この人のことをもっと深く知りたいと思ったので、思い切って質問をしてみたのです。
それがきっかけで商売以外のことで3時間ほど話し込んで、会見のあとその社長は、自分自身でさえ気づかなかったことを、世間話の中から発見したようでした。
2週間後、この社長から副社長と経理部長を紹介してもらったそうです。
これぞ質問の効力だと思います。営業マンがどれだけうまいセールスをするよりも、お客さんに考えてもらうことがどれほど重要かということです。
ベトガーは次のように言っています。
相手方に質問するようにすれば、次の2つの目的を達することができる。
- 他人に自分の考えを知らせることができる。
- それと同時に、相手方の立場を尊重しつつ、先方の意見を聞くことができる
今は怖い世の中で、相手に関心を寄せると犯人扱い、詐欺師扱いにされてしまう世知がない世の中ですが、人間関係を築くにはまず相手に関心を寄せて質問をすることだと思います。
私は講義の中で、勝算もないのに見積もりを出してはいけない。といいます。
それを避けるのには、どうすればよいか。
その答えは、唯一つです。
質問することです。質問によってこれを回避するのです。
その質問をしていくことで、相手の本心が解ってきます。そしてどのようにしてあげればその人の目的が達成できるかがわかってきます。
この質問の効果こそ営業の最も大切な技術だと思います。
もう一つは、『上手に面接するコツ』の章です。
この章では主に、面会の予約を取る重要性とその方法について書かれています。
今でこそ散髪屋さんは予約制ですが、90年も前にこの予約制のアドバイスをしています。そのアドバイスはベトガーの営業のやり方に深く関わっています。
まず面会をしたくなるように仕向け、面会の日時を約束することに努力し、しかる後に商品を売る努力をする。
訪問営業に限ったことではなく、店舗営業でも同じことです。
まず会いたくなるように仕向けて、日時を約束する。
私の場合ですと、セミナーや勉強会を開催するのがこれに当たります。
皆さんの場合は、どういうことが考えられるのでしょうか。
さらにこの章では、約束の取り方について具体的な事例が書かれています。約束を取るということは、相手の未来を具体的にするということでもあり、目標を明確にすることでもあります。
一つ予定が入るとそれに合せて色々なことが具体的になります。
私は一つ予定が入るとそれに合せてその一日を組み立てます。
例えば、鈴鹿方面への約束が入るとそれに合せて、新たな予定を入れるようにします。皆さんは如何でしょうか。
詳しくは、『私はどうして販売外交に成功したか』をご覧ください。
今回は営業の話でしたが、皆さんは自分の仕事のさらに上を目指してどのように探求されていますか?
私の師匠のフジゲン横内会長からの言葉で言いますと「無上意」これ以上ない上を目指して精進していきたいと思います。
無料の電話でマンツーマン講義
ドラッガーはドラッガー経営名言集の中で、次のように言っています。
「中小企業をうまく経営するには第一に経営層は、その視野を広げるために社外の意見を取り入れるよう務めなければならない。小さい会社は是非とも社外重役を置く必要がある」
私が前の会社にいたときの悩みというのが、これでした。
自分で手当たり次第経営の勉強をするのもよいのですが、どういったことを突っ込んでやれば、業績がよくなるのかを探し当てるまでに時間が掛かりすぎて、一つのことを勉強し始めても本質が何を知りえるまでに、次の問題が発生するというメンバーが少ない中小企業ならではの悩みがありました。
こんなに沢山の本を読んで、理解をして自社に置き換えるなんて夢のまた夢。
多少なりとも自分の会社のことを解ってくれていて、あなたの会社はこういう点に力をいれた方がよい。
それには、こんな情報や内容を勉強すると効果的です。
と言ってくれる人がいないのかなぁと思ったものです。
この仕事を始めるに当り、こんな立場で仕事が出来れば中小企業の経営者の方に役に立てるのではと思いました。
今年からスタートしたサービスが無料の電話で講義をするというものです。マンツーマンですのでこちらも大変なのですが、経営者の方のよき相談相手になればと思っています。
無料電話についてお知りになりたい方はお問合せください。
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