メンター通信 第71号
発行日2009.12
リーディング産業展は再度訪問方式で成果を上げる
15年ほど前のことですが、その時は私が丁度ソフトウェアの開発会社に入って3年目ぐらいのときでしたでしょうか。
今ほどではありませんが、景気の波があり仕事がなくなってきた時期がありました。
ソフトウェアの開発といっても、当時はまだ大手企業への派遣がメインで時間を売っているようなところがありました。
ですので、プログラマーが派遣先より戻ってくる期間が長く続くと、致命的になってきます。
その焦りもあり、私は以前からお世話になっていたNECの営業さんに相談しました。
そうしましたら、
「直ぐに仕事に結びつくかどうかは解りませんが、展示会があるのでそれぐらいならいつでも協力できますよ」
という話でした。
私は、駄目もとで出展をさせてもらうことを社長にお願いをしました。
勝算を聞かれましたが、初めてのことなので正直なところ返事はできません。
でも、リスクはゼロだということを説明させて頂きましたら、OKが出ました。
なんせ出展料が要らないんですから、しかも仕事がなく会社で勉強している人達を使うのですからリスクはありません。
イベントは2日間。
とは言え、自分のところで開発したソフトウェアを持っている訳でもなく、展示するものさえありません。
思案の挙句、当時代理店契約をしていた生産管理ソフトを展示することにしました。
なぜそのソフトウェアにしたかといいますと、無料の体験版を配布することが出来たからです。
これを理由に、もしかしたら名簿が作れるかもしれない。
そう考えたのです。
その後訪問すれば何とかなるかもしれない。これは営業の勘です。
どうしてその時こんな方法を思いついたのは今だに解りませんが、
私は、100名の名簿を集めることを目標に掲げたのです。
この100という数字は、営業時代から拘りがあり、1日100件訪問を続けていましたら3ヵ月後には成果が出ました。
この100という数字は、何かが起こる境目のような気がしてなりません。
兎に角100件の名簿を集めて、その後無料の体験ソフトを持って訪問する。という方針がこれでできました。
展示会に参加された方は、ご存知だと思いますが展示会に出展しブースの飾り付けをしていると、いつの間にか目的が展示ブースを作ることになってしまいます。
リーダーは常に、そのことに気を配らなければなりません。
お客さんがどのように動くか。目の動きはどうか。
その後アンケートなどに答えやすいか。
(これは基本的なことですが、目の動きは左から右、上から下へ動くのが一般的ですので、お客さんの進行方向から向かって左側のときアイキャッチを入れる必要があります。デパートと一緒ですね。)
ですから、ブースの入り口に机などで壁を作るのはタブーです。
アンケート(名簿)の記入できる場所ももちろん必要です。
万が一、場所がなくてもボードなどを準備しておく必要があります。
当時は、説明員にはすべてアンケート記入用のボードと筆記用具を持たせてウロウロさせました。
さて展示会の当日ですが、アンケート(名簿)集めに集中させました。
逐次アンケート枚数をチェックさせ、2日間で100名絶対に達成するぞ!
この言葉を繰り返し、発することです。
そうしないと部下は、100という数字に根拠があるかなどと疑って掛かって、言い訳がどんどん出てきます。
リーダーが目標を掲げる時に重要なのは、熱意と願望です。
根拠はその後押しです。
その時の展示会では、初日が終わって50名弱でした。
もちろん全員を集めて、明日の目標を再確認して解散しました。
そして2日目です。
もう展示会も残り30分になったときです。
私は、名簿の数を報告させました。
「98名です」
「よし!後2名。どんなことがあっても100名行くぞ!」
そうしましたら、私の知り合いがやってきたんです。
私は、アンケートを貰うように指示しました。
ところが、あえなく撃沈です。さらに私からもお願いしましたが、残念ながら貰うことはできませんでした。
諦めかけたその頃。
女性の3人組が現れたのです。
私は先ほど撃沈した部下に
「お前行って来い!」
そうしましたら案の定
「え〜っ」
「ゴチャゴチャ言わんと行って来い!」
しぶしぶ彼はアンケートを貰いに行きました。
帰ってきた彼の口元をみて私は
「よし!やったぁ!」
「今日はこれで撤収!」と声を掛けたのです。
100名の名簿を貰って私は、お客さん一人ひとりを訪問することにしました。
ところが、100名を1社1社アポイントを取って訪問していたら、1ヶ月ぐらい掛かりそうでした。
そこで、私はアンケート用紙をまず仕分けしたのです。
同業者など今までに会ったことが人へは、郵送で済ませました。
そうしましたら、15社程度が残りこのお客さんに訪問を掛けたのです。
不思議なものですね。
その中から1社だけですが、受注に結びついたのです。
それが最後にアンケートに答えて頂いた女性3名で起こしになった会社だったんです。
多くの会社さんが失敗することは、集めてその後フォローできないということです。
さらにフォローするのに一番営業力のある人を投入しないということです。
展示会に出展する時の注意点をまとめますと
- 展示会で商談を決めようとしない。
- 目的・目標を明確にする。
- 再訪問は1週間以内に行う。
- 訪問はトップ営業が行う。
- 見込客数で、出展費用を割り1件当りの見込み客獲得コストを出す。
以上を守って頂ければ、展示会を年中行事のようにやたらに出展して疲れだけが残ることは防ぐことができます。
たった1冊の本が日本を敗戦に追い込んだ
10月2日にランチェスターの法則発表記念講演会に参加してきました。
当日は、まずトヨタ博物館にて、ランチェスターカーの見学をしてきました。
ご存知の方もみえると思いますが、ランチェスターの法則は、イギリスのフレデリック・ランチェスター先生が発見した戦いの法則です。
そのランチェスター先生は、もともとベンチャー企業の社長で、ランチェスターカーというものを製造販売していました。
それが、トヨタ博物館に保存されているのです。
通常は、展示されていないのですが特別に見せてもらうことが出来ました。
この見学が終わって午後から、記念講演会です。
最初にランチェスター戦略の体験発表で3名の社長がされました。
その後、竹田陽一先生の講演です。
内容はランチェスター先生がランチェスターの法則を発見して、それが戦争にどのように応用されてきたか。を解説して頂きました。
そして連合軍が、ランチェスターの法則とオペレーションズリサーチを用いてどのような対策を打ってきたかを聞かせて頂きました。その内容を本にしたものがメソッドオブオペレーションズリサーチという本です。
そのひとつの例として、戦略爆撃です。
連合軍は戦略攻撃に「2」、戦術攻撃に「1」の戦費を投入しました。
戦略攻撃といいますのは、日本軍の補給力を断つ攻撃です。
武器の生産や食料の補給の元を断つのです。
連合軍は、本土を攻撃するためにB29を開発しました。
その間日本軍は、最前線で何機落とすかということに終止していました。つまり戦術攻撃にすべて費やしていた訳です。
その結果、前線の部隊に武器・食料は補給されず沖縄が落とされてからは、戦士よりも栄養失調や病気で亡くなった方の方が多かったということです。
武器を持つ力も残っていなかったそうです。
最終的に被害は、連合軍は1.日本軍は10という悲惨な状況になったわけです。
翌日代理店会議があり、久しぶりに出席しました。
その席で、竹田先生から、前日講演で使ったオペレーションズリサーチの最後の一冊を頂いたのです。
この本はQCの産みの親デミング博士が日本に3冊送ってもらった一冊を竹田先生が海賊版を作ったものです。
海賊版とは言え、日本科学技術連盟から承認を得ています。
その本の中からひとつ例をご紹介しましょう。
野戦の食事場で食後、各自の食器を洗う兵士の列の例です。
食後各自の食器を洗うために列を作って兵士が待つために多くの時間が無駄になっていました。
そこには4つの桶があり、2つ洗うのに、2つは注ぐのに用いられていました。ORの部隊は、平均して兵隊が食器を洗うのは、注ぐより3倍の時間が掛かることに注目した。
そして洗うのに2つの桶、注ぐのに2つの桶を用いていたかわりに、洗うのに3つの桶を、注ぐのに1つの桶にしました。
すると待っている兵士の列はほとんどなくなってしまっただけでなく、多くの日には待つ列さえもみられなかった。そうです。
この話は無駄を省くという話でしたが、根本的な原因を省くにはこういった科学的な方法が必要ではないでしょうか
このオペレーションズリサーチとランチェスターの法則を用い考えられたのが経営物理学です。
私は元々経営センスもないし、商才もありませんので、法則に従って素直に実行するしかありません。
実行力を高めるには、経営物理学を腑に落とす必要があると感じた次第です。
上司は部下のことはいつまで経っても解らないが、部下は3日で上司を見抜く
お蔭様で、毎月超過密スケジュールで動いています。
こうなってくるとまとまった時間が取れず、知識を仕入れることができなくなってくるのです。
できるだけ電車で移動するようにするのですが、三重県という土地柄車での移動が多くなってしまいます。
それでも、皆さんによりよい情報を提供していかなければ、私の将来もありませんので、今は車の移動時間を使って戦略名人と言うCD教材を聞いています。
先日もお客さんのところへCDを聞きながら向かっていました。
「あれ?しまった。一本曲がる道を間違えた」
その時は、ランチェスターの法則のところを聞いていました。
いつもと同じ説明なのですが、私がそれまで疑問に思っていた回答がヒラメいたのです。
その疑問とは、「部下からは直ぐ社長のことが解るのに、なぜ社長は部下のことが解らないのか」というものです。
ランチェスターの法則で解釈しますと、次のようになります。
社員が10人としましょう。社長は1人です。
社員1人当りの気くばり時間は、10分の1、社員は社長1人だけを見ていればいいわけです。ランチェスターの法則を適用しますと1:10はその2乗になりますから、1:100のパワーの差になります。
これでは、社長がいくら気を配っても、部下からの観察に勝てるわけがありません。
それでは、社長はどうすればよいか。
「自分に目を向けさせないようにすればよい。それも粗利益の大元のお客さんに目を向けるようにすればよい。」
また一つ経営原則が腑に落ちた瞬間でした。
皆さんも騙されたと思って、CDを繰り返し聴いてみませんか。
今月号に、気軽に勉強できるCD教材の一覧を同封しました。この年末年始の休みに、隙間時間を有効に使う方法を身に付けたいという方は、FAXください。
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