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メンター通信 第58号

発行日2008.11

アンケートご協力への言い訳とご報告

ニュースレターアンケートに、ご協力頂きありがとうございました。アンケート回答用紙を送付して、2日目の朝のことです。
FAXが流れてきました、次々にFAXが着てその日はなんと30枚にもなりました。そして、翌日はそれを上回る41枚。
私はアンケートをお願いするのは2度目です。
丁度5年前に、葉書でアンケートをお願いしましたが、そのときは31枚の回収だったのです。
次々に送られてきたFAXを集計しながら、内容を確認していくとよくぞ答えてくださった。
という感謝の気持ちでいっぱいになってきました。
懸賞や商品券が当たる訳でもないのに、時間を取って回答を書いて頂き、さらにFAXを送信してもらえるなんて本当にありがたいです。

遅ればせながら、お礼の葉書を作りすぐにお返しました。
ここから言い訳です。アンケートをお願いしようと思ったのは、数年前ある人から岩崎さん、いつも送って頂いて悪いのでお金を取ってください。というありがたいお言葉を頂いたときからです。
「そんなお金を頂くほどの情報を提供している訳でもないですから、いいですよ。」 そんな会話の後、沢山切手を送って頂きました。
もしかしたら、他の方でこんな風に負担に感じてみえる方がいるのではないか? そう思ったわけです。
それからというものどうすればよいのか。いつも気になっていました。
有料にした方が読みやすいのか。無料の方が読みやすいのか。
有料と聞くと人によっては、「こんなもので、お前金儲けするなよ。」と思われるのではないかと聞くのも、少し気が引けてずっとアンケートを取れずに数年が経ってしまいました。
しかし、いずれこの答えは出さねばならない。
そこで今回思い切って、アンケートをお願いした訳です。 思いもよらぬ回答に感謝です。 集計した結果ですが、10月16日現在587通送らせて頂いて、132名の方からFAXを頂きました。
そのうち、毎回読んでいる、たまに読んでいる、回覧しているとお答え頂いた方が、なんと・・・127名。役に立つ、大いに役に立つが、88名、たまに役に立つを合わせますと124名。 そして気になる有料か無料かですが、41名が無料、80名が有料、未回答11名という結果になりました。
一番感激したのは、132名の方がFAXを返して頂いたこと。
次に、127名の方が読んでくださっているという事実。20%強の方が、気にしてくださっているということです。 これは感慨深い。
折も折、丁度前回磯部さんからご紹介して頂いた北川八郎さんの本を読み進んでおりましたらその中で、「10%は人に与えなさい」という言葉が出てきました。キリストの言葉だそうです。

私の心を見透かされたように、その言葉がグサリと刺さったのです。 いつの間にか。送料だけでも貰えんかなぁ。という欲が頭を擡げてきたのです。
これで自分自身すっきりしました。
これまでと同じく姿勢を変えずに無料で行こう。
とは言え、無料では気が引けるという方に何か手立てがないものかと考えた末。
次のようにすることにしました。
ユニセフへの寄付です。
日野原先生も、親善大使を務められていることですし、これは我ながらいい考えだと思っていますが、如何でしょうか。

費用は、年間の送料を基準に、1口千円で2口まで、年に一回だけ寄付を募りたいと思います。
集まったお金は、当社から日本ユニセフに寄付し、その振込み受領証をこの通信で報告できればと思います。
私のご同業で通信費として頂いていた方も、こちらでお願いしようと思います。
ということで、お騒がせのアンケートの結末はこのようになりました。
これからも末永く、お読み頂ければと思います。
詳細は後日お知らせします。

宮崎本店社長は、絶対に戦略社長!(岩崎の勝手な分析)

皆さん、中小企業家同友会というところを御存知ですか。
10月16日の夜18時30より10月度の例会がありました。
その例会というのが、ちょっと異常です。
三重県の中小企業の経営者が集い、会員の報告を聞きます。
その後、各グループ5,6名に分かれて、その報告について意見を交わします。
今回は報告が60分、意見交換(これをバズセッションといいます)60分、グループの発表が30分。
約2時間半ぶっ続けで経営の勉強をするのです。
10月度の報告者は、宮崎本店の宮崎社長でした。
内容は営業を中心とした今まで話したことのないことを話すということもあり、90名近くの参加者でした。
私も最前列に座り、聞き逃さぬためにICレコーダーで録音の準備をして待ち構えていました。
そこへ宮崎社長がみえて、一応お断りをいれようと「録音、いいですか」と尋ねましたら、「あかんぞ。俺企業を実名で出すやろ。・・・・」

「それはそうだ。宮崎社長の話の面白いところは、本音で話してくれるところなので、ここは一つ聞くことに集中しよう」と気持ちを入れなおしました。お陰で緊張感のある聴講となりました。
さて話の内容ですが、市場が小さくなっていく酒造業界の2つの対策を話されました。
一つは、高い付加価値のものを売る。薄利多売の価格競争から戦いの場を、付加価値で競争する場へ替えるということです。
価格は、安いか。高いか。安いものは安い、高いものは高い。
義理人情が絡んでも、それは変わりません。
勝負できる点が価格という一つの面だけなのです。
ところが価値観というものは多様です。
色々な側面から比較できます。
それだけ他社との違いを出しやすいということになります。
確かにマーケットは小さいですが、小さい企業にとっては十分です。2つ目は新しい市場の開拓です。
人がやっていないところに目を付けて、進出するわけです。
この2つとも、まさにランチェスター
弱者の戦略というやつですね。

まず高い付加価値のものを作るにはどうするか。
最初に話されたのは、ブランドについてです。
ブランドもナショナルブランドになっては意味がない、レアブランド(希少価値ということでしょうか。)を目指すということです。
「ブランドというと商品のブランドをイメージしますが、それ以外に企業のブランド、サービスのブランド、社員のブランドそして社長のブランドもある。」
ここまで聴いて、ブランドというのは
@ 他社と差別化していないと成り立たない。
A お客さんから支持されないと成り立たない。
さらに、○○だから、△△については大丈夫というように人に言ってもらえればブランド化に成功したことになるのではないかと思いました。
例えば、「岩崎さんの主催する講演会だから、中小企業の社長には必ず役に立つでしょう。内容は聞いてみないと解らないが」
宮崎社長は、「差別化という言葉が好きでないが、区別するまあ差別化ということだ。」とおっしゃいました。
私も小さい会社が勝つには差別化をすることだといつも講義で言っていますが、この記事を書きながら、差別化というと相手と比較することになりますが、区別だと全くカテゴリーが違うことになるので、その方がいいのではないかと考えさせられました。
さて宮崎社長が、例に出されたのは「キンミヤ焼酎」の例です。
東京の下町から火が付いて、「昭和レトロ」に拘ったラベル、ポスター、そして飲み方。(ホッピーで割るそうです)

そしてこのキンミヤ焼酎が市場に出るのに、私もその一端を担わせて頂いたのです。
昨年の秋ごろでしたでしょうか。
宮崎本店さんから「またアンケートの集計をしていので来て下さい」と連絡がありました。
以前も一度行ったことがありますが、アンケートに答えると確か大吟醸が当ったと思います。今度は何が当るのかなぁ。と思いながら、仕事の説明を受けに行きました。
そうしましたら、「前掛け」が当るというんです。
私は「前掛け?。まあ集計には関係ないので」と思い集計したことがあります。
これは「昭和レトロ」というコンセプトだったんですね。

そのアンケートのカラクリを聞くことができました。
キンミヤ焼酎は飲食業向けの商品で、販売店経由で流通していたそうです。
ですので、メーカーという立場ではどの飲食店に入っているのか分からないのです。
販売店も自分のお客さんを明かさないわけです。
アンケートの方法は、キンミヤのクビに申込ハガキと1枚の応募券が付けてあり、応募券を10枚集めると1枚のはがきを出すことが出来るものです。
応募されるのは、当然飲食店が多く、集計していて以前実施したアンケートとは明らかに客層が違っていました。
その結果、どの店でキンミヤ焼酎が使われているかが判明したわけです。
実はその後が、このアンケートの目的だったのです。
名前が判明した販売店に営業マンが1軒ずつ前掛けを渡しにいったのです。
25年前から購入している飲食店は初めてのメーカーの訪問に驚いたそうです。
ビューターセールスという方法を御存知でしょうか。
よくメーカーが同行訪問することがありますが、それがこの方法で目的は、お客さんとの関係を深めて他のメーカーの影響を少なくすることです。
弱者の接近戦というヤツです。
通常は、販売店の営業と同行するのですが、巧妙なやり方だと思いました。

「昭和レトロ」のもう一つの側面は、物語性です。
クチコミを広げるためには、伝わりやすくする必要があります。
宗教の宣教師がまさにこの方法を使っています。
宗教ぐらい解りにくいものを、どうやって何百年も文字のない時代からどうやって伝えてきたか。
文字がないので、最初は口伝えです。記憶をしてそれを伝えるわけです。人が覚えやすくするには、その情景を思い浮かべられるような物語にすることが最も効果的です。
そしてお客さんを味方にする。これも弱者の戦略ルールです。
次に講演後の質疑応答の時に、答えられていたことですが、「中小企業はちょこっとやって、すぐ止める。」

モンドセレクションをサントリーが3年連続で受賞しましたが、4年目はエントリーしないそうです。それは落ちたときの影響が強いからだそうです。「宮崎さんは度胸ありますねぇ。」とサントリーさんにいわれたそうです。
ところが宮崎社長曰く、「宮崎本店がモンドセレクションを落とそうが、そんなこと世間は注目していない。それが中小企業の強みだ。」中小企業はそれほど経営資源が充実していない。それなのに大手のように流行のものを追いかけるとどんどんエネルギーが奪われてしまうことになります。
たまたまその日の朝のウォーキングで宮崎ご夫妻にお会いしましたが、もう十数年続けられているそうです。
それを評して「俺、こう見えても意外と頑固なんやぁ」とおっしっていました。
25年連続で金賞を受賞できた理由が解ったような気がしました。
最後に、宮崎社長に質問をしたことがあります。
「先ほど紹介したアンケートの方法などはどなたがどこまで考えられたのですか?」という内容です。

社長がどこまでを考えられたのかということを聞きたかったわけです。答えは明確でした。
「高付加価値の商品で行く。という戦略は社長が言う。
その方法戦術は社員が考えた。」
戦略と戦術の区別がしっかりとついて、実行方法が弱者の戦略に統一されていたので、改めに感心しました。
私がこの仕事を始めたときに、「ランチェスター戦略は十年以上前に流行って、そのときに俺は勉強したぞ!」とおっしゃって頂いたことを思い出します。
さて自分は何が出来ていて、これから何を続けていくのか。6年目に入る私にとって、非常にありがたい講演でした。ありがとうございました。

イチオシ講演会

宮崎社長の話が、あまりによかったので、紙面を多く取ってしまい宣伝をし損ねました。
◆11月8日(土)フジゲン横内会長、シャンゼリゼ橋本社長。
◆11月23日(日)北川八郎先生講演
詳しくは同封のパンフレットをご覧ください。

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