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メンター通信 第30号

発行日2006.6.25

私に車が売れるなんて、信じられませんでした

もう十五年も前のことですが、私はそれまでやったことが無かった営業職に配属が変わりました。
年齢がいってからの転職が原因していたのか。ほとんど研修らしい研修はありませんでした。
同行訪問と称して、マネージャーが話しているのを横で見ている程度でした。時には車の中で待っている始末。
マネージャーにしても、自分の仕事を邪魔されたくないので、やむを得ませんが・・・・
そんな状況でも、短時間で車の販売ができるようになったのは理由があります。
理由その1、訪問面会回数を多くした。
これも運がよかったのですが、意外と早くテリトリをもらえたのです。前任者が辞めてからあまり経っていなかったこともあり、担当テリトリを貰えました。
普通は、私がテリトリを持つということは、他の営業のテリトリが減るということなので、周りからの反対が結構あるものです。
とは言え、何をどうやって売ったらいいのか。何から初めてよいのか分からない私では、テリトリを貰うという意味が余り分かっていませんでした。
ただ、自由に歩きまわれる地域を貰ったというだけです。
それで私は、鞄に全てのカタログを詰めて、一軒一軒歩き始めました。

「こんにちは、○○です。ぼつぼつ車の買い替えは如何ですか?」
「車屋さん、うちはいいわ」
「そうですか。あっ、カタログ置いておきます見ておいて・・・」
門前払いが続きます。
口下手が原因してか。話が出来ても、ほんの数分、いや数秒です。
そんな訳で、件数だけは一日一〇〇件も、廻ることができました。
後になって分かるのですが、営業を成功させるには、この短い訪問が不可欠です。
お客さんの都合を考えると、商品が欲しいときに営業がいてくれたら買うだけのことです。
皆さんもこういう経験ありませんか?知人から、パソコンや事務機を買うんだったらお願いするね。と頼まれていたのに、タイミングよく入ってきた営業から購入してしまい、後から気づいてしまった。
意外と買う側に立つと人のことを考えていないものなんですね。
ですから、私のように営業の苦手な人は、訪問頻度を増やしお客さんが買いたいときに偶然出くわすしかないわけです。
こういう体験を繰り返すことで、お客さんが本当に買いたいと思っているときとは、どういう雰囲気のときなのかが分かるようになってくるのです。
小さい会社の場合に、これを補うのが通信を利用した営業です。
電話、FAX、ハガキ、メール、ホームページなどです。
理由その2、2回目以降の工夫
さて門前払いが続き、カタログを配りつくした私は、2回目の訪問をどうしたらよいか解らなくなりました。
だんだん腰が引けてくるのです。
どうせ断られるから、どうせ売れないから・・・・・
そんなとき追い討ちを掛けるようにマネージャーが、
「おい、お前カタログを撒きすぎや!いくらすると思ってるんや!」
私は驚きました。それと同時に
「じゃぁ。どうすりゃいいんや!」ちょっとムカッと来ましたね。

そうでしょ。ただでさえ売れないのに、カタログなしで・・・・
まぁいいや。じゃぁ安いチラシでも、持って訪問すればいいでしょ。そう心でつぶやいていました。
結果的には一緒でした。安いチラシをもって回るにしても、チラシをひと回り配れば、いく宛がなくなるのです。
車を売るどころか、訪問するやる気さえなくなってきました。
「ちょっと待てよ。昼間なんて車に乗らないお婆ちゃんや、車には真っ向から反対の奥さんばかりに、会っても車は売れんわな。」
喫茶店でサボってコーヒーを飲みながらこんなことを考えたこともあります。
元来せっかちな、私は喫茶店に5分も居座れず、直ぐに飛び出してまた訪問を始めました。
とはいえ依然としてどうやって訪問したらよいのか分からない状態が続きました。
私  :「こんにちは、○○ですけど・・・」
奥さん:「ああ、車屋さんね。大変やね」
奥さん:「どう、売れる」
奥さん:「経験長いんじゃないの」
私  :「はぁ・・・・」
私  :「車って何か乗られているんですか」
奥さん:「そうねぇ。車庫に入っているやつですよ」
奥さん:「ぼつぼつ替えたそうに、してたよ」
私  :「ご主人ですか?」
奥さん:「そうよ。」
私  :「で、いつおみえになります」
奥さん:「7時ごろには戻ると思うけど」
私  :「そうですか、じゃ。そのころまた来ます」
奥さん:「は〜い」
なんだか。急に気持ちが軽くなりました。
「うん?こんなんでいいんや。」
なぜ、奥さんはいろいろ教えてくれたか?
その理由はいくつかあります。
・幾度か訪問しているうちに、私から売りたいオーラが消えてしまった。
・カタログや鞄を持たなくなったので、警戒心を持たれなかった。
・いつの間にか聞き手になっていた。

その中で、一番大きいのは次も訪問するにはどうすればよいかを考え始めたことです。
結論は。売りを出さないということです。
これ以降、肩の力が抜け訪問が出来るようになりました。
余裕が出来てくると不思議なもので、さりげない質問から車を買い替えたいと思っているのは誰なのか、それがいつごろ予定しているのかが分かるようになってきたのです。
誰なのかが分かれば、次に決定権を持った人は誰なのか。その人が一緒に家にいるのはいつなのかを決めてしまえば、かなりの確率で、販売は成功します。
車のように元々買い替え需要がある場合、その神経を研ぎ澄ますことで、一回の訪問でなんとなく分かるようになってきます。

理由その3、3しないの実行
初回訪問の注意点をまとめますと
1、売り込まない
2、カタログを出さない
3、商品説明をしない
売り込まない、カタログを出さないというのは理解いただけたでしょうか、商品説明をしないというのは、少し難しいところがあります。
なぜかといいますと、お客さんによっては、買う気はさらさら無いのに興味本位で聞いてくる人がいるからです。
車の販売をしていて一番聞かれるのが、値引き金額です。
「ところでいくら値引きするんや」
この言葉が出たときは要注意です。
ここからが営業の技量の差が極端に出ます。
金額を聞くというとことは、興味があるのには間違えは無いわけですが、問題はその動機です。
参考のタメに知りたいのか。どこかで話すネタにしたいのか。
本当に購入を検討するために必要なのか。
初回の面談で、購入を検討するために値段を聞く人は稀です。
それなのに、確かめもせずに商品説明を初め、最後には今なら安くなるのでといって値引きを置いてくる、
更に輪を掛けて
「もしお気に召さないなら、もうちょっと引けますよ。」
なんていう営業は最低ですね。
これも商品説明になりますので、少し我慢と工夫が要ります。
このようなことを考えながら、私は一軒一軒訪問を続けたのです。
皆さんのところの営業マンはどのように工夫されていますか?

営業の前の営業

いまでこそ、似顔絵を名刺に印刷する人が増えてきましたが、15年も前から私は似顔絵を使うようにしています。
と言いますのは、昼間訪問しても、やはり留守のお宅が大変多いのです。あるとき、たまたまお会いできた人で娘さんの車が欲しいとおっしゃっていた方が見えました。
ところが、それ以降昼訪問しても留守。夜訪問しても合えずにしたのです。
なんとか、この方から連絡を貰いたいのと、忘れられては困るので、手紙を書こうかと思いつきました。
しかし、一度しか会っていない営業マンが手紙を出しても、誰かわからないのではないかと考えました。
そこで知り合いのデザイナーに頼んで似顔絵を描いてもらうことにしました。
その似顔絵をコピーし、その紙に手紙を書いてせっせとポストに掘り込んだのです。

最初会社でコピーするのにとても恥ずかしかったことを覚えています。見つからないようにコピーをしようと思ったのですが、女子事務員に見つかってしまい、思わず、笑われてしまいました。
そんな努力が報われたのか、遂に私はその奥さんとお会いすることが出来ました。
そして奥さんの口から出た言葉は、
「旦那が、別の営業所に知り合いがいるからとそっちで買うことにした」でした私の考えすぎかもしれませんが、どうやら似顔絵が効きすぎたようです。
それにそのメモの内容も、奥さんと娘さん宛てに書いたものばかりだったのです。
ここでの教訓は、決定権者が誰で、人間関係がどうなっているかもわからないうちから、接近戦に持ち込んではいけないという点です。
その後私は、企業相手にビジネスをしていますが、特に企業の場合事前に調べておくことが沢山あります。
最近はインターネットが発達して、検索して調査をしたと思い込んでいる人がいますが、誰でも手に入る情報を持っていても、競争相手に対して脅威ではありません。
よりお客さんに一歩近づいた情報が効果的になります。
どんな情報を集めたらいいかは、少し考えればわかります。

  • 決定権者が誰であるか。
  • 決定権者は、いつ会社にいるのか。
  • 決定権者が決定を下すときに、相談する人はいるか。
  • 上司は誰か。部下は誰か
  • 決定権者が現在興味を持っていることは何か。
  • 決定権者は、組織の中で、どのように受け止められているか。

決定権者と競合他社との関係は。まだまだ社内で話し合えば出てくると思います。
社内で検討するときの注意点は、経営の大局図に従って、お客さんの情報(50%)競争相手の情報(25%)仕入先などの情報(10%)ごとに考える検討し易くなります。
これらをカルテなどのように形にすることで、会社の仕組みとなっていきます。
営業の質の高い人は、これらを聞きだす能力に優れています。
それぞれの質問を社内でトレーニングすれば、営業力の強化に繋がります。
これは、店舗を使って営業している場合も同じです。
但し、売り込みが入りますと本音を話して貰えません。
そこで社外の相談役に何人かになってもらい、食事会などを催して色々と教えてもらうのも良いかと思います。
それほどお金は掛かりませんので、一度チャレンジしてみてください。思わぬ情報が入るかもしれません。

営業力を向上しませんか?一期生募集!

さて今月号は営業技術について書いてきましたが、私はこの技術を自分で工夫しながら試して身に付けてきました。
「営業とはそういうもんだ。」という考えもあるでしょうが、こんな方法があるということを知っていたら、もっと早く上達したかもしれません。
人によっては、こういった営業の手法を全く知らずに、自分は向いていないからと諦めてしまって、会社を去っていった人もいると思います。
そんな訳で、営業について考える場所があっても良いのではないかと考えました。
営業職というのは大変忙しい。それと頭で理解するだけでは成果が出ません。そこで月に一度集まって、営業手法を学び、異業種と交流し成果を出し合いませんか。
もしかしたら、営業を諦めていた人が営業のコツをつかめるかもしれません。そんな営業さんを応援したいと思います。
詳しくは、『実践:営業塾入会案内』同封のパンフレットをご覧下さい。

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