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メンター通信 第24号

発行日2005.12.25

マス広告の効果的な使い方とは

11月の終わりにランチェスター経営の代理店の集まりがありました。
その後、懇親会になったわけですが、
その席でのことです。

浜松の代理店の鈴木さんが、次のような質問をしてきました。
「先日ピアノコンサートを主催したのですが、440名集まりました。そこで、
@ホームページやポスターから集客する方法
Aちらしを手渡して集客する方法
この2つの比率がどれぐらいだっとと思いますか?」
答えは、@が40名、Aが400名と1対10だったそうです。
お金が掛ったのは、勿論@の方法です。
@のホームページやポスターから集客する方法は、確率を重視したやりかたです。
Aのちらしを手渡して集客する方法は、まさに接近戦です。
鈴木さんは、チケット販売を本職でやっているわけではありませんので、勿論その業界では、一位などではありません。
竹田先生曰く、大体15%が確率戦で、85%が接近戦で集まるということでした。
では、どうやってマス広告を使えば、効果的に集客できるのでしょうか?
これだ!という答えは私も分りません。
しかし、実例を見ることで、
少しはヒントが掴めるかもしれません。
私がこの仕事に移って1年ぐらいたったときです。
四日市商店街で知り合いになった日本料理の若紀久の石田さんから電話を貰いました。
「ケーブルテレビの宣伝広告の相談に載ってほしいんや」
番組内容は、○○見聞録とかいう番組でレポーターが店を取材してプレゼントを差し上げる企画です。
時間帯は、昼の12時と夜の11時過ぎということでした。
石田さんは、てんぷらのコース料理をPRしたいとおっしゃっていました。5000円ぐらいのコースです。連絡頂いたときに、すぐに頭に浮かんだのは、
「このまま宣伝しては一人もお客さんが来てもらえない。」でした。
そうですよね。まず時間帯です。
昼間と夜中、全然見る客層が違います。

しかも、どちらの視聴率が高いかも定かでないのです。
私は早速、夜のその番組を見てみました。
そしてその時にてんぷらのコース料理を食べたいと思うか。
実際に体験してみたのです。
「う〜ん、もうひとつ食べたい気にならないなぁ」
昼間は、よいとしても夜このままだとますます厳しいぞ。
打ち合わせ当日、どういったものを売りたいのか再度確認をしました。やはりてんぷらのコースです。
いずれにせよ、
イキナリ五千円の料理を売り込んでも、買ってくれそうにない。
そこで頭に浮かんだのが、多段階宣伝方法です。
そのためには、てんぷらに関係する料理で、もう少し安い料理を見つける必要がありました。
そうしたら、ありました!
それは、「かき揚げ丼」です。このかき揚げ丼は海老に特徴があり、本当にプリプリしているのです。器もこだわって選んだもので、大変美味しい、値段も七三五円とお手頃です。
まず第一段階で、
このかき揚げ丼を宣伝することに注力しました。
食べたくなるのは、どういうときかなぁ。
食べたくなるのは、誰かが美味しそうに食べているのを見たときだろうな。美味しそうにテレビで表現するのに一番参考になる番組は、ご存知「どっちの料理ショー」です。
素材をどうやって探してきたか、これを大将に話をしてもらう。
次にレポーターが美味しそうに食べてもらう。
最後にプリプリという言葉を入れて覚えてもらう。
こういう構図が描けました。
もう一押し、お得感を出すために、「テレビを見たよ」と言って頂いた方に、もれなくフルーツの小鉢を付けることにしました。
次に第二段階です。
これで店に来てもらったとして、てんぷらの味と店の雰囲気は充分味わって頂けます。次にてんぷらコースに興味をもって頂かなければなりません。
そこで来店の方に、てんぷらコースをプレゼントすることにしました。それと同時に、次の手を打つためにどうしても名簿をほしかったので、応募された方から抽選し、当った方に、プレゼントすることにしました。
第三段階目として、集められた名簿つまり、てんぷらに興味のある方をどうやってもう一度店に来てもらうかです。
このような手順で、考えて行きましたが、最終的に次のような段階を追っての宣伝になりました。
@CATVにて宣伝では
小エビのかき揚げ丼と小鉢のサービス。
来店して頂いた方に「てんぷらコースプレゼント」
に応募して頂く。
A来店後、連絡先を記入して頂き応募
B当選発表後、応募者全員に、お礼のハガキと 
落選者へサービスチケットの送付。
詳しい数字は公表できませんが、CATVで
100名前後のご来店。その場でてんぷらコースを注文されたのが数組。宴席などで注文されたものを加えますとこの時点で、宣伝広告費は、ペイできました。
当選発表後、サービスチケットをご利用頂いた分と、てんぷらコースをご注文頂いた分が、プラスの分です。
さらに、小エビのかき揚げ丼のファンまで現れ毎日のように食べに来て頂いているそうです。
このように、今まで若紀久さんを全然知らなかったお客さんが繰り返し来て頂けたというのが本当の儲けになったのだと思います。
この方法をそのまま自社に適用しても、結果が同じになるかどうかは、分りませんが、大切なのは、考え方です。
それより大事なのは、お客さんの視点から見て買いやすくなったかどいうかということです。

高級料理屋さんが、いいものを提供しますというイメージ宣伝だけしても、初めてのお客さんからすれば、味も雰囲気も分らないわけです。
一度味わって、初めてこのお店ならこれぐらいのお金を出しても、いいなぁと思うわけですから、一回目の買い物でお店側からして、自信のある商品を提供してもお客さんはそれ以外の理由で拒否してしまうのです。

中小企業家同友会伊勢鳥羽支部講演

一二月一日、私は中小企業家同友会の伊勢鳥羽支部様より、ランチェスターの講演依頼を受けました。
前回は一位作りの経営戦略というテーマで行いましたが、2度目となる今回は「顧客中心の経営戦略」というテーマで講演させて頂きました。
顧客中心というのは、どこでも言われていることですが、その前にどうしても伝えておきたいことがありました。

それは、なぜ顧客中心が大切かと言うことです。
ランチェスター法則から、戦いの方法には二種類あることが分りました。
競争条件の有利な場合と競争条件の不利場合の戦い方です。
経営の場合、競争条件が有利とは、市場占有率で一位、26%以上、2位以下を10対6で離すことです。
こういった会社は、0.5%しかありません。ほとんどの会社が競争条件が不利な戦い方をしなければなりません。
その戦い方を弱者の戦略と言います。
弱者の基本原則は、

  1. 弱者は、部分で1位になることを目指せ
  2. 弱者は、強い会社を攻撃目標にするな
  3. 弱者は、まず勝ちやすきに勝って自信をつけよ
  4. 弱者は、強い会社のマネをせず違ったやり方で差別化せよ
  5. 弱者は、経営の要点を細分化して検討せよ
  6. 弱者は、お客と競争相手の一次情報を集めよ
  7. 弱者は、弱い所は切り捨てて強い所をより強くせよ
  8. 弱者は、重点主義・集中主義を守り、敵に上回るカを入れよ
  9. 弱者は、動きの早い軽装備を守れ
  10. 弱者は、接近戦を重視せよ。
  11. 弱者は、一騎打ち戦を重視せよ。

マス広告を例に取ってみましょう。
全く同じ広告を、同じ費用で行ったとしましょう。
広告の反応率はほぼ同じになります。そうするとお客さん一人当りの宣伝広告費は、お客さんの数が少ない方が高くなります。
実際には、お客さんの数の2乗に比例します。この状態で逆転するには、一度お客さんになってもらった人に繰り返し取引してもらって、最終的にはお客さんから紹介を頂くことです。
そのためには、お客さんの一次情報を集めたり、動きの早い対応をしたり、接近戦を重視したり、一騎打ち戦に持ち込んだりする必要があります。
これらはすべてお客さんと接する部分の対策です。
以前もニュースレターで書いたことがありますが、単細胞動物がエサを取るのと全く一緒です。
神経を研ぎ澄まし、触覚に触れたら全力でそれにあたる。
会社で言えば、お客さんと接する部分を敏感にし、お客さんを全員で出迎えることになります。
顧客中心にしなければならない理由は、ここにあります。
特に競争条件の不利な会社は、そうすべきです。

その顧客中心をどうやって進めていけばよいか
まずお客さんがきて、2度と来たくないと思わせないために、
「お客さんに不便を掛けていることの見直し」
から始めます。
特に初めて取引しようとするお客さんは、さりげなく問い合わせしてきますので、その時に、嫌われては新しいお客さんは増えません。この対策が終わりましたら、感謝を態度で示すことです。
こうすることで、お客さんとの距離が縮まります。
これを続けていきますと、お客さんのことがよく見えてきます。
そして最後に、お客様に役に立つサービスを提供することになります。
お客さんのことがよく分かっていないのに、自分本位の役に立つことを実施しても、いらぬお節介にになるわけですね。
そうならないために安直にするのが値引きです。
お客さんは、安ければ喜ぶだろう。確かにそうですが、それ以外のことでも、喜んで頂けることは沢山あるはずです。
なぜそれが分からないかと言うと、お客さんのことが本当に分っていないからです。
お客さんのことが見えて、競争相手も見えていれば、必ず打つ手は見つかるはずです。
大切なのは、これらを仕組みにして教育訓練をしていくことです。

戦略社長塾(経営の大局を知る)

経営の本質は、経営の源であるお客を作り出し、そのお客を維持しながら、徐々にその数を増やしていくことと言いました。
では、お客さんが欲しいと祈れば、来てくれるかと言うとそうではありません。なぜかと言いますと
一つは、お客さんが100%決定権を持っているからです。
もう一つは、それを邪魔しにくる競争相手がいるからです。
残念ながら、通常は競争相手の数の方が、自社の数より多いのです。
自社は、それに比べれば小さな小さな存在です。
この大局図の中心で考えられる経営者が素晴らしい経営者です。

お客さんと自社との関係、自社と競争相手の関係を鑑みて、自社がどうやって手を打てば一番効果的かを考えられるということです。
お客さんのことは、見えているようで見えていない。
自社の接客は完璧です。と言い切る人が以前見えました。そこで、私がお客さんの立場にたって、
「こういうこと出来ますか?」
とお尋ねしたところ
「えっ!そんなこと出来るんですか?」
「他のところでは、行われているサービスですよ」
と話しましたら、驚いていました。
これなどは、お客さんが、どういうところでお困りか。
競争相手がどういうサービスをしているか。
全く分っていないよい例です。
今知らないことはそれほど問題ではないのですが、知らないということを、知らないのが怖いですよね。
私もニュースレターにコメントを書こうとしていますが中々お客さんにとってどういうことを伝えれば役に立つのかが思い浮かびません。まずはこの大局図を意識してください。

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